本来他人の土地に自動車や自転車を駐車するためには、土地所有者や管理者から駐車するための利用権限を得ておく必要があります。
他方、何らの契約を結ぶことなく、土地所有者や管理者に無断で駐車されることがありますが、この場合、土地を利用する権限がなく、いわゆる不法駐車・無断駐車ということになります。
しかし、このような場合でも、土地所有者や管理者は、不法・無断で駐車された自動車や自転車をその所有者に断わることなく移動したり、処分することは許されておりません。
権利者が、自らの権利を私力により実現することを「自力救済」といいます。例えば、マンション敷地内に違法駐車された自動車をレッカー移動する行為は自力救済に当たります。
この自力救済は、例外的な場合を除いて原則的に禁止されています。
なぜなら、そもそも権利の存在自体が必ずしも確実であるとは限りませんし、
私力による権利の実現を認めてしまうと、場合によっては暴力的な権利行使がなされるおそれがあるなど、社会秩序の維持にとって大きな問題になるからです。
したがって、私力による権利の実現は原則として違法とされ、自力救済を行った者は、民事上の不法行為責任を負うほか、場合によっては窃盗罪などの刑事責任を負うことになります。