超高層マンションは、東京都心部や湾岸エリアの好調なマンション市況に支えられて、2017年までは毎年2万戸前後の竣工が見込まれています。
とはいえ、超高層マンションには、大きく分けて3つの問題が横たわっています。
第一は、規模が大きく区分所有者の数が多いことです。超高層マンションでは1棟の建物に数百戸から1,000戸を超える住戸があることも珍しくありません。
公団などの団地も数百戸のものがありますが、多くの棟に分かれているため、棟ごとにコミュニティを醸成しやすい環境にあります。
一方、超高層マンションの場合は、1棟の建物のなかに全住戸があり、高速エレベーターで上下移動する暮らしです。
団地のようなコミュニティが育ちにくい構造になっています。
第二は、区分所有者間の所得格差が大きいことです。団地の場合は、間取りも価格もほとんど同じで、区分所有者の経済状態にそれほど大きな違いはありません。
しかし、超高層マンションは高さの違いによって住戸の分譲価格に大きな開きがあり、1億円以上の住戸と4千万円程度の住戸が1棟の中に存在するのが通常です。
このことは、多額の資金を必要とする大規模修繕や建替えの合意形成の障害になるはずです。
第三は容積率に全く余裕がないことです。超高層マンションの多くは、
総合設計設計などを利用して建設しているため、都市計画で指定されている容積率を大幅に上回っています。
建替えをする場合、規制緩和などにより容積率の上乗せをすることが困難だけでなく、
社会情勢の変化によって容積率が引き下げられる可能性もあります。